『母べえ』
長く黒澤明監督のスクリプターを務め、そしてよき相談者でもあった野上照代氏の自叙伝を原作とした作品。もしこの作品を黒澤が手がけていたら、あまりに直接的で癇に障るような映画になってしまったかもしれないが、野上と監督である山田洋二は語りたいことをすべて作品に盛り込みながら、控えめな語り口で物語を進め、物議をかもし出すような要素をうまく軽減することに成功している。オードリー・ヘップバーンが世界中でそう思われたように、吉永小百合は日本の理想ともいえる女性の姿を伝統的な母親像の中に驚くほどの美しさで息づかせている。 |
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